住民税の税制改正
令和2年度から適用される主な変更点
ふるさと納税制度についての見直し
ふるさと納税制度の対象となる寄附金は、以下の⑴~⑶の対象要件を満たし、かつ総務大臣が一定の基準に適合する自治体と指定した地方公共団体の寄附金とする見直しが行われました。
なお、この見直しによる制度の適用は、令和元年6月1日以降となります。
⑴寄附金の募集を適正に実施していること
⑵返礼品等の返礼割合が寄附金額の3割以下であること
⑶返礼品等は、都道府県の区域内で生産される物品又は提供される役務であること
対象となる地方公共団体については、下記の総務省HPをご参照ください。
▸総務省HP「ふるさと納税ポータルサイト」(外部サイトへリンク)
指定対象外の団体に対して令和元年6月1日以降に支出された寄附金については、ふるさと納税の対象外となります。
※個人住民税に係る寄附金税額控除の特例控除額部分は対象外となりますが、所得税の所得控除及び個人住民税の基本控除部分については対象となります。
住宅借入金等特別税額控除の拡充
消費税率引き上げによる需要変動を平準化するため、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に、消費税率10%が適用される住宅を取得し、居住用に供した場合における所得税の住宅ローン控除の控除期間が10年から13年に延長されました。
今回の措置により延長された控除期間(11年目から13年目まで)において、所得税額から控除しきれない額については、現行制度と同じ控除限度額の範囲内で、個人住民税の税額から控除されます。
【現行の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)】
<居住年月日が平成21年から平成26年3月までの場合>
▸所得税の住宅借入金等特別控除額のうち、所得税額から控除しきれなかった額
▸所得税の課税総所得金額等の5%(上限97,500円)
<居住年月日が平成26年4月以降で消費税率8%または10%で住宅を購入した場合>
▸所得税の住宅借入金等特別控除額のうち、所得税額から控除しきれなかった額
▸所得税の課税総所得金額等の7%(上限136,500円)
※上記のそれぞれいずれか低い額が適用されます。
平成31年度(令和元年度)から適用される主な変更点
配偶者控除・配偶者特別控除の見直し
配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額が変更されることとなりました。
控除区分 |
配偶者の |
納税者本人の合計所得金額 |
|||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
900万円以下 |
900万円超 |
950万円超 |
1,000万円超 |
||||||||||
配偶者 |
一般 |
38万円以下 |
33万円 |
22万円 |
11万円 |
なし |
|||||||
老人 |
38万円 |
26万円 |
13万円 |
||||||||||
配偶者 |
38万円超~ |
33万円 |
22万円 |
11万円 |
対象外 |
||||||||
90万円超~ |
31万円 |
21万円 |
11万円 |
||||||||||
95万円超~ |
26万円 |
18万円 |
9万円 |
||||||||||
100万円超~ |
21万円 |
14万円 |
7万円 |
||||||||||
105万円超~ |
16万円 |
11万円 |
6万円 |
||||||||||
110万円超~ |
11万円 |
8万円 |
4万円 |
||||||||||
115万円超~ |
6万円 |
4万円 |
2万円 |
||||||||||
120万円超~ |
3万円 |
2万円 |
1万円 |
(*1)納税者本人の合計所得金額が1,000万円超で配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合は、配偶者控除の適用はありませんが、「同一生計配偶者」として特別区民税・都民税の非課税判定の扶養人数に含まれます。
また、その配偶者が障害者手帳の交付を受けている等要件を満たす場合は、障害者控除の適用を受けることができます。
※ 改元が行われ、元号が「令和」となりましたが、平成31年度(令和元年度)の特別区民税・都民税の年度表記は「平成31年度」としています。
平成30年度から適用される主な変更点
給与所得控除の見直し
給与所得控除の上限額が適用される給与収入額が1,200万円(控除額230万円)から1,000万円(控除額220万円)に引き下げられました。
医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の適用
健康の維持増進及び疾病の予防への一定の取組(健康診断やがん検診の受診等)を行っている個人が、本人や本人と生計を一にする親族に係る「スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち医療用から転用された医薬品)」の購入費用を1年間に12,000円を超えて支払った場合に、総所得金額から控除する医療費控除の特例制度が創設されました。
なお、従来の医療費控除と両方を適用することはできないため、どちらかを選択しての適用となります。
▸詳細ページ:医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)
▸厚生労働省のホームページ(セルフメディケーション(医療費控除の特例)について)(外部サイトへリンク)
医療費控除の明細書の添付義務化
医療費控除の適用を受ける場合、従来は医療費の領収書の提出又は提示が必要でしたが、平成30年度から領収書の代わりに「医療費控除の明細書」を添付しなければならないこととなりました。
時期
平成29年1月1日以降の医療費にかかるもの
(平成30年度以降の個人住民税に適用)
添付書類
医療費控除の明細書
医療費控除の明細書(区申告用)(PDF:153KB)
※医療保険者から交付を受けた医療費通知(健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」等)を合わせて添付すると、「医療費控除の明細書」への明細の記入を省略できます。
▸ 医療費控除を受ける場合、平成29年度までは、医療費の領収書の原本を全て添付する必要がありましたが、現在は医療費控除の明細書等を添付する必要があります。
ただし、明細書の記入内容を確認することがあるため、医療費の領収書は自宅で5年間大切に保管してください。
▸令和2年度分までの住民税申告については、明細書ではなく、従来どおり領収書の原本を提出することで、医療費控除の適用を受けることができます(経過措置期間)。
関連ページ
▸国税庁のホームページ(医療費を支払ったとき)(外部サイトへリンク)
平成29年度から適用される主な変更点
給与所得控除の見直し
平成29年度の個人住民税より、給与収入1,200万円超の控除額の上限が230万円に、平成30年度の個人住民税より、給与収入1,000万円超の控除額の上限が220万円に引き下げることとされました。
給与所得控除上限額の変更 | |||
---|---|---|---|
区分 | 現行 (平成26年度から平成28年度) |
改正後 | |
平成29年度 | 平成30年度 | ||
上限額が適用される給与収入 | 1,500万円 | 1,200万円 | 1,000万円 |
給与所得控除の上限額 | 245万円 | 230万円 | 220万円 |
国外居住親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
日本国外に居住する親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の適正化の観点から、所得税の確定申告や個人住民税の申告等において、国外居住親族に係る扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・障害者控除(16歳未満の扶養親族を含む)の適用を受ける場合は、「親族関係書類及び送金関係書類を添付又は提示をしなければならない」こととされました。
※ 給与等の年末調整や公的年金受給者が国外居住親族(16歳未満の扶養親族を含む)に係る「親族関係書類及び送金関係書類」を扶養控除等申告書に添付又は提示している場合は除く。
※ 国外居住親族が16歳未満であっても、個人住民税の非課税限度額制度(人的非課税制度)の適用を受ける方やその親族に係る障害者控除を受けようとする方は、上記の関係書類の添付又は提示が必要となります。
適用関係
▸平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等について適用
▸平成28年分以後の所得税、平成29年度以後の個人住民税について適用
親族関係書類とは
次の⑴又は⑵のいずれかの書類(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を添付)で、国外居住親族が納税者の親族であることを証するものをいいます。
⑴納税者の国外居住親族が外国人である場合
外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(その国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る)
⑵納税者の国外居住親族が日本人である場合
戸籍の附票の写し、その他国又は地方公共団体が発行した書類及び当該国外居住親族の旅券の写し
送金関係書類とは
その年における次の⑴又は⑵の書類(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を添付)で、その国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度行ったことを明らかにするものをいいます。
⑴金融機関の書類又はその写しで、金融機関が行う為替取引により、納税者から、その国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類
⑵いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、クレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと、又はその商品等購入代金に相当する額を納税者から受領したことを明らかにする書類(クレジットカード利用明細書など)
▸国税庁のホームページ(国外居住親族に係る扶養控除等Q&A)(外部サイトへリンク)
▸国税庁のホームページ(国外扶養親族に係る扶養控除等の適用について)(外部サイトへリンク)
金融所得課税の一体化等
これまで公社債等については、利子・譲渡・償還によって課税の仕組みが異なっていましたが、税負担に左右されずに金融商品を選択できるよう、異なる税率等の課税方式の均衡化を進める観点から、株式等の課税方式と同一化することとされました。
また、特定公社債等の利子及び譲渡損益並びに上場株式等の金融商品間の損益通算範囲を拡大し、3年間の繰越控除ができることとされました。
▸国税庁のホームページ(個人の方が上場株式等を保有・譲渡した場合の金融・証券税制について)(外部サイトへリンク)